情報通信エンジニアリング協会

一般社団法人    情報通信エンジニアリング協会

いきいき女性社員のスゴさの秘密、教えます!
Archive:2016

                

首都圏開催[ ITEA渋谷本部 ]

西日本開催[ ITEA西日本事務所 ]

全国交流会開催[ ITEA東日本研修センタ ]


【 西日本開催:2016年6月13日(月)】

大阪・森ノ宮の情報通信エンジニアリング協会西日本事務所へ、協会会員会社9社の女性社員に集まっていただき、情報通信エンジニアリング会社で働くにあたり影響を与えてくれた先輩・上司についてや、各社の女性社員育成カリキュラム、女性活躍推進法について、あるいは女性が活躍するための課題、後輩へのメッセージ等について語っていただきました。

◇Q1.影響を与えてくれた先輩・上司

              
西事務所

司会(本井傳) それでは、まず仕事をしている中で、自分自身にとって影響を与えてくれた方、目標とする先輩・上司についてお聞かせください
―頼りにしている今の女性上司―
行武 私の会社は技術系の女性が少なく、また土木は私だけなので特に影響を受けたのは、9つ上の女性のアクセス系の先輩です。現場でもさまざまな経験をされており知識も豊富で、女性だけではなく男性社員や後輩たちみんなに頼りにされている方です。現在同じ部署で私の上司として働いていますが、今の業務は現場の知識がないと見積書の作成や発注者との価格交渉もできません。そんな中NTT様からの信頼度も高く、その姿を見て私もこうなりたいと目標にしています。

―「これがプロの仕事ですよ」といった先輩―
神垣 入社時に新入社員研修のマナー研修で、講師をされた女性の方です。たとえばエレベーターに乗ったら率先してボタンを押して、他の人を招き入れ、送り出すように、数台ある本社ビルのエレベーター内の操作パネルの位置を教えていただいた事を今でも鮮明に覚えています。その方のお話の中で、電話応対の大会を見学された際、会社の場所を電話で尋ねられるシーンで、その会社付近が今どのような状況であるかを把握され、工事中で通れない道があるとか、目印になるものが隠れてしまっていて、目印にできないという事まで考慮して説明されていた事を聞きました。そして、これがプロの仕事ですよと言われていました。その時、どんな仕事にでも責任を持って自分の仕事を全うできるような女性になりたいと思いました。
※川上 由委(かわかみゆい)さん NDS㈱ NTT事業本部名古屋支店 エンジニアリング部基盤担当に所属 2014年入社現在、基盤設備工事の設計・施工管理業務に従事し、主にNTT一般総合工事や民需工事(電線共同溝本体工事および設備工事)を担当。その他、とう道の点検・修繕や測量等さまざまな業務に携わっている。

川上

 

川上

<とう道内の排水ポンプ故障による浸水確認状況>

―「企業は人なり」―
街道 影響を受けた人は2人います。1人は、人を大切にと教えてくださった上司です。「企業は人なり」とよく耳にしますが、育成業務に従事してから特に意識をしています。 もの作りはたとえ失敗してもお金と時間をかけることにより、再度作り直しはできますが、人はそのようにはいきません。新入社員が社会人としてうまくスタートし、3年目のフォローアップ研修までメンタル面も含めて支援するように心がけています。先輩社員として接しやすい雰囲気作りを心がけて、今後も相談しやすい人となれるように努力していきたいと思います。 もう1人は自分が新入社員の時にお世話になった女性の先輩です。ふとした時に、「この頃どう?」と、声をかけてもらうと何でも話せる自分がいました。私も女性であるという特徴を活かし、和やかな空気で、何でも話せるような環境を作れる人になりたいと望んでいます。
―「一人前のエンジニアになることが大切である」と気づかせてくれた先輩―
川上 私は土木に配属されてちょうど1年の時に、電線共同溝工事で初めて設計・施工管理を担当しました。その工事の現場代理人兼監理技術者であった当時入社6年目の先輩に影響を受けました。先輩の仕事に対するひたむきな姿勢や責任感を身近で感じ、入社当初「男性社員に負けません。」と意気込んでいましたが、工事を通して自分自身で女性という壁を作っていたこと、男女関係なく一人前のエンジニアになることが大切であることに先輩が気づかせてくれました。将来、先輩のような現場代理人になりたいと思いました。
―女性らしい細やかな対応―
井上 私は回線の切り替え工事をする際、事前に切替日時を調整し工事連絡を入れ、承諾をいただく業務をしています。私が目標とする女性の先輩は相手のお客様に対し言葉遣いや聞きやすい声のトーン、速度にも気遣って、女性らしい細やかな対応をされており、とても尊敬しています。また工事内容をしっかりと理解して対応されている姿を見て先輩のように、声のトーンやお客様に対しての気配りや仕事に対する気持ちを大切に、仕事をしていきたいと思いました。
―コミュニケーションの取り方を教えてくださった先輩―
田中 影響を受けた方は2名おります。まず、私が新入社員だった頃、会社の説明をしてくださった人事の方で、研修時から配属後もお会いするたびに何かとフォローしてくださった先輩です。気を遣って細かいところも見てくださる方で、私もそのように後輩を見られたらいいなと思っています。もうお1人は、工事調整等の業務を、デスクでこなすだけではなく、施工員の方々と日頃からお話などして、それぞれの生活をも考えて工事を割り振る等の、コミュニケーションの取り方を教えてくださった先輩を尊敬しています。
※井上 ちさと(いのうえちさと)さん シーキューブ㈱NTT事業グル―プ アクセス事業本部 愛知支店付㈱シーキューブ愛知出向 名古屋南営業所に所属 2009年入社 現在、愛知県大府市にある営業所でサービス総合工事の工事長補佐として、主に切替借用業務に従事。工事を行う際に対象となる重要回線のお客様に対し切替日時の案内や借用を行っている。

井上

 

井上

<借用状況説明・切り替え手順についての打合わせ風景>

―「空元気も元気のうちよ」と教えられた作業員の方―
宇野(理) 目標とする先輩が1名と影響を受けた人が1名ずついます。 まず、目標としている先輩は、同じ土木部署の女性の先輩で、会社説明会の時から、「採用活動ではこういう気持ちで臨んだらいいよ、採用活動というのは自分を見つめ直すことだから、あまり固くならなくていいよ」と教えてくれた先輩です。入社後は私のチューターとして、「何でもやってみていいよ。もしできないことがあったら私がフォローするから」と言われ、とても心強かったのを今でも覚えています。いま、ちょうどその先輩と同じ年齢になりましたが、追いつけている気が全くしません。これからもずっと目標になる先輩だと思っています。影響を与えてくれた人は、入社後初めて配属された現場で、半年間いっしょに仕事をした作業員の方です。初めての現場管理でレベル測量や品質の管理が思うように進まず、帰りの車の中で泣きながら帰っていました。その様子を作業員さんに見られていたようで、電話がかかってきました。「車の中で泣きよったろう。(笑)。悔しい思いをしとるやろうけど、ちゃんと分かっとるよ!空元気も元気のうちよ!」と励まされました。いまでも影響を受けた人だと思っています。
―「とりあえず自分の力でやってみろ。あとの責任は取ってやる」―
近江 影響を与えられたのは、設計業務のOJTで出会った上司です。私は、仕事で失敗するのを恐れて、尻込みすることがよくありました。そんな私に、上司は、「とりあえず自分の力でやってみろ。あとの責任は取ってやる」と言ってくれ、それなら思い切ってやってみようという気持ちになりました。ある民地折衝では、自分の言葉でお客様へ説明をしていた時、分からなくて詰まったところをサッとフォローしてくれました。上司はその言葉通り、私が失敗したり、分からなくて振り返ったときにはちゃんとサポートしてくれたので、ありがたかったなと思います。「やり直し」と書類を突き返されたこともありましたが、仕事に対する姿勢など、大事なことを教わったと思っています。
―「工事は段取り8割で、仕事は2割だから」―
宇野(裕) 私は現在の部署に配属され6年目で、要所要所で指導していただいている先輩方がいます。私が現場で工事長として、任されたLANケーブルの新設工事での出来事です。工事前日に工事指示の内容を読み違えたのに気づき、急いで新しいものに作りかえましたが完璧な準備ではないまま工事日を迎え、結果初めての工事で大失敗をしてしまいました。 悔しくて業務車両で落ち込んでいた時、先輩から教わった事は、「工事は段取り8分で、仕事は2分だから」段取りとは、仕事に取り掛かる前の下準備であり、段取りをしっかり行わないから今回の結果になったのだと強く指導していただきました。まだまだ経験が浅いのでより一層段取り重視で仕事に取り組まなければならないと痛感しました。それからは、事前調査、資材準備、施工、開通試験、完成図書までスムーズに現場が動くように「段取り重視」で業務に励んでいます。


◇Q2.会社が取り組む女性社員に対する育成カリキュラムは?


          

司会 次は、会社が取り組んでいる女性社員に対する育成カリキュラムについてお聞きします。
街道 ITEA計画のマネジメント系研修に女性社員も率先して受講するよう計画をしています。また、女性活躍推進法が制定されたことから、今年度より、石川県主催の女性を対象とした女性キャリアアップ研修、ビジネス力アップ研修等が企画され、会社としても積極的に受講するように取り組んでいます。
宇野(理) 西部電気工業の取組み策としては、今年2月に社外セミナーで、女性リーダー育成研修を行っています。受講生も先生も女性で、社外で女性社長に講話をしていただき、少しずつ進めていくという形です。
井上 シーキューブでは、NTT様からお2方お招きして、キャリアになるための心構えやモチベーションについての話を伺いました。社員全体が働きやすい職場になるためのワーキング活動を行い、委員会を立ち上げ、3期目に向けて現在も続けています。気持ちよく仕事ができる職場になればいいなと思っています。 また、一般職の女性社員を対象にリーダーになるための女性キャリア開発研修やステップアップする挑戦意識を高めるための女性キャリアデザイン研修なども取り組んでいます。
行武 SYSKENでは、女性社員研修を人事部の方で何回かやったことはあるのですが、近年では女性社員を年に1~2人選出し、県が行っている社外の研修を受講しています。また、女性活躍推進法が制定されたことで、本年度に計画、立案し、実施は来年度以降になると思いますが、女性社員の育成研修の実施、女性社員面談が予定されています。具体的には、職場のリーダーとして、ひとつ上のステージで活躍する意欲と能力の醸成を目的とした女性リーダー研修、全女性を対象とし、長期的視点でキャリアを考えるスタートアップキャリア研修です。SYSKENで働く社員と臨時者も含めて女性ならではの目線でできることはないかというワーキングをしていこうという取組みも動いています。
―「メンター制度」と「茶話会」―
田中 ミライト・テクノロジーズでは6年前からメンター制度というものが実施されています。新入社員に1年間、気軽に相談できる同性の先輩社員がつくというものです。男女関係ない制度ですが、ただでさえ女子が少ない環境の中で、女子新入社員にとっては非常にありがたく、頼りになる存在となっています。その他には、組合主催の茶話会というものがあってお茶をしながら育休の取り方など先輩と話す機会もあり、毎回趣向を凝らした内容で開催されています。

         

◇Q3.女性活躍推進法をどのように感じているか?


 

司会 次は、女性活躍推進法が制定されましたが、皆さんはどのように感じていらっしゃるかお聞きします。良いと思っている方、良くないと思っている方に挙手をお願いします。まず良いと思っている人は手を挙げてもらってもいいですか?4人。では、良くないというのはほかの方5名ですか?なぜ良いと思われたのですか。
―「女性の活躍の場が増える」―
宇野(裕) 実際に工事をしている過程で、女性に出会うことはほとんどなく、例えば新築の工事現場に入るとトイレ等、環境整備がまだなされていないところがあるので、女性が増えると良いと思います。例えば深夜業務など分け隔てなくやらなければいけないなど、体力的な面ではしんどいとは思いますが、活躍の場が増えるという意味で良いのではないかなと期待しています。
※街道 智恵(かいどうともえ)さん 北陸電話工事㈱ 経営企画本部 人材開発室 育成企画課に所属 1998年入社 現在、研修機関との調整、社外講師との折衝も含め研修計画の策定実施に従事。自社研修管理システムの改善や外部システムとのデータ連携を行う等の業務の効率化施策の推進も担当。会社の基本は「人」との思いから、関係部門と連携しながら奮闘中。

街道

 

街道

       
 

新入社員 業務知識基礎研修

 

―意識が変わる―
近江 建設業界は女性が少なすぎるので、女性がこの業界に飛び込むきっかけになるかなという気持ちもあります。ただ、働く環境というのは制度だけではなくて、働く職場の人々の意識が大きく影響すると思います。女性技術者が増えたとしても、もし現場へ出るとなると周囲の理解がないと難しい部分もあるはずです。いろいろ問題はあると思いますが、こうした制度面の変化をきっかけにして、徐々に意識も変わっていけばいいなと期待しています。
司会 逆に良くないと思っている方々のご意見も聞きたいのですが。
―「女性に特化する必要性があるのかという疑問」―
行武 良くないというよりは、女性に特化する必要があるのかなという思いがあります。これまで男女平等で育ってきているので、現場代理人の時も男性と女性で比べられたことはなかったです。私は女性だからといって特別に優遇されたくないという思いがあるので、女性に特化する必要性があるのかなという疑問があります。会社は女性活躍推進法に基づく行動計画を策定していて、目標の数値を達成するために女性を必要以上に昇格させようとするのではないかと。そうではなく、男女関係なく個人個人の能力を見てほしいと思います。
―社会および業界全体として動いていくことが必要―
神垣 私は男女雇用機会均等法の関係で、女性の総合職で男性と一緒と言われて会社に入社しました。私自身も男性に負けたくないというか、特に区別されたくない、頑張ろうという一心で入ったのですが、男性社会の中で、不条理なところを感じる事もあり、正直、現場で女性であるという理由でつらい思いをしたこともありました。女性に特化したこういう法律を作ることそのものが問題なのではないかと思います。例えば、採用や管理者を数字化された時に、「あいつは女だから採用されたのだ。管理職になれたのだ。」といった見方をされがちなところもあるのではないかと思います。今から社会および業界全体として動いていくことが必要かなと感じました。
※宇野 裕子(うのゆうこ)さん 日本電通㈱ ITエンジニアリング事業部 エンジニアリング部 ソリューションサービス担当に所属 2010年入社現在、PBX・LAN工事が中心の部署に所属。工事責任者として従事し、主な業務内容は、LAN工事およびネットワーク機器の設定・設置業務を担当。

宇野

 

宇野

       
 

既存通信機器への設定変更および確認作業

田中

 

田中

       
 

現地調査立会のスケジュール調整

 

※田中 美保(たなかみほ)さん ㈱ミライト・テクノロジーズ NTT事業本部 西日本事業部 アクセス部に所属 2009年入社現在、現地調査立会業務(AM代行業務)の受注・調整・完了の処理業務に従事。

        
         

―働きやすい環境の定着化―
街道 女性活躍推進法や男女雇用機会均等法があり、家事と子育ては男女平等と言いながらも、現実は社会通念的に、やはり女性に多く負担がかかると思うのです。法律改正により、女性が働きやすい環境が少しずつ定着化する方向に向いていくと思いますが、まだまだこれからだと思います。法律の制定で終わりではなく、働きやすい環境を作る意識を普及していくことが課題だと思っています。
―「女性の目線だけになってしまったら、うまくいかないこともあるのではないか」―
川上 私が3年前に就活していた時には、すでに女性をどんどん受け入れる態勢は業界にあったと思います。NDSは女性活躍推進法で5年間に女性社員数の30%アップを計画しています(20人増)。私は目標数字を掲げ、若い女性がたくさん入社することに疑問を感じます。通信建設業界は今まで男性社会で成り立ってきたので、女性の目線だけになってしまったら、うまくいかないこともあるのではないかと思います。女性社員が増えることで体力的な問題や家庭との両立等くじけてしまう人数も増えると思います。男性社会であるからこそ、徐々に女性が増えていってほしいです。
―「本当に正しい目で評価してもらえているのかどうか不安」―
宇野(理) 反対というよりは疑問です。女性の活躍推進法の制定によって「女の人だから受かりやすい」とか、「女の人だから出世しやすい」とかがついて回ってしまうのではないかという不安があります。男性が多い職場というのは分かって入ってきているわけですし、ちやほやされたいからとか、出世しやすいからと思って飛び込んだわけではありません。この業界に入ったのは自分自身の夢がここにあったからです。だからこそ、会社としての目標値をクリアするために、ある程度のところで目をつぶって、(管理職に)上げちゃおうとなってしまうのではないかなと思い、本当に正しい目で評価してもらえているのかどうか不安になります。ただ、女性社員は増えてほしいので、女性受けしやすい内容をパンフレットに掲載して「女性が活躍していますよ」ということを沢山アピールしていただけるのは大歓迎です。
司会 制度に対して良し悪しの答えを出したかったわけではなく、皆さんがどういう感想をお持ちなのかという事をお聞きしたかったのです。ありがとうございます。


Q4.女性がさらに通建会社で活躍するための課題は?


 

司会 今後女性が活躍するために、どんなことをクリアすればもっと女性が活躍できるのか。これは、後輩に対しても1つのエールとして周りの環境にしろ、自身のことにしても、個人的に思うことをいただけたらと思います。
―育てることも大事、周りの環境が大事―
田中 気になる点を言うと、男性の意識の問題です。普通に話している中で、「お前な」と言われたりします。言葉遣い1つ、同じことを説明するのでも、なぜその言葉を使うのだろう?という方もいますので、伝えるということと、聞くということの研修をもっと取り入れる等すればいいと思います。ただ女性を増やすだけでなく育てることも大事ですので、周りの環境が大切だと思いました。
※神垣 京子(かみがききょうこ)さん ㈱ソルコム 安全品質管理本部 品質保証部 品質検査担当に所属 1996年入社 現在、NTT工事の品質・検査に関わる総括業務に従事。アクセス系全数検査を実施している品質保証センタの運営およびNTT検査資格取得についてのインストラクターとして社内研修を実施。また、NTT西日本様による検査WGに参画し、全数写真検査移行について対応中。

神垣

 

神垣

       
 

品質保証センタ社員へ全数検査での欠点発生状況説明模様

 

―1人ひとりそれぞれの教え方―
井上 人によってはポンッと渡され、説明があまりない方もいます。場合によってはすこし突き放されたように感じる時があります。すぐに聞ける環境であれば良いのですがコミュニケーションが取れていないと1人で悩んでしまうかもしれないです。1人ひとりそれぞれの教え方があり、今後自分が教える立場になったときにどのように教えていけばいいのか悩むかもしれないですね。
―「教え方がものすごく難しい」―
宇野(理) 私自身は「これを見れば分かるから」と習ってきたし、他の先輩もそうやって習ってきたと思います。しかし今後入社してくる後輩たちにその方法が正しいのか、伝え方ひとつで冷たい教え方になってしまうような気がして、悩んでいます。今後、同じ部署に入ってくる女性の後輩にどのように接していけばいいのか、教えるということはすごく難しいことだなと思います。「自分たちはこうやって学んできたのに」と思ったら、溝ができてしまうようにも感じます。そうなってしまわないよう、教え方、伝え方をもう一度見直さないといけないなと思います。
―「自分の技術を盗め」―
宇野(裕) 「技術を見て盗め」と言われることは多いです。私の部署では、各々が工事長として現場を持っていて、工事完成までのプロセスが異なっています。多くの良い例がたくさんあるので自分がやりやすい方法や技術に変え、新しいやり方として吸収しています。また、自分の弱点や悪いところに自ら気づくことは簡単ではないですが、「こういう所が不得手だよ」と具体的に指摘していただくと、それを知ることで初めて個人の成長につながっていくと思います。しかし、なにもかも聞いてしまう姿勢では自分の経験値にならないので、できる限り自ら考え行動するよう心がけていますが、やはり言ってほしいこともあるなと思うときがあります。
―とりあえずやってみて―
川上 チャンスを自分で掴みに行くこと。できるできないは考えずに「やります。」とまずチャレンジすること。とりあえずやってみて、大変なこともあると思いますが、泣いて努力した結果は後から必ずついてきます。また、女性だけでなく、男性の相談できる味方を作ることも大事だと思います。
―強いところは伸ばしていけるようなサポートがあると、もっと活躍の場は広がる―
近江 建設業界で仕事をしていくのであれば、現場の知識は必要だと感じています。しかし、男性社員からは、女性を現場に出させるのに、戸惑いとか心配の声をよく耳にします。現場の作業にもいろいろありますが、スコップを持って穴掘って電柱を立てられるのかと聞かれたら、男性と同じようにできるとは言えません。でも、接続作業だったり、配線だったり、細やかさを必要とする作業とか、お客様とコミュニケーションを取らないといけない宅内作業では、むしろ女性がもっと活躍できるのではないかと思うのです。強み・弱みは、女性と男性では違うので、弱いところは弱いところとして受け入れて、強みを伸ばしていけるようなサポートがあると、もっと活躍の場は広がるのではないかと感じています。
司会 それに工具や材料が改良されればもっと活躍の場が広がるかもしれませんね。例えばですがアクセスについてであれば力仕事のいる建柱だとスポンジの様なやわらかく軽い電柱が開発され掘削後に電柱を建柱し、水をかけるとコンクリートの様に固い電柱ができるみたいになれば、どんどん女性だけでもできますね。
―お互い尊重し合って切磋琢磨―
街道 取り組む業務は基本的には男性と同じだと思うのですが、女性としての特徴があり、それを生かした業務分担があると思います。例えば、女性は「重量物の運搬」、「仕事と家庭との両立」ではハンディがある反面、新入社員の悩みを聞き、きめ細かいフォローや、女性新入社員の相談等は支援しやすい状況にあります。男性・女性それぞれの特徴を活かした役割分担をし、その違いを理解した上でお互い尊重し、切磋琢磨することが大切であり、そんな会社のムードを作りあげていくことが、これからの課題だと思っています。
―「きめ細かい配慮ができる女性の特徴を生かして」―
神垣 私が現場で初めて工事を持たせていただいたときに、右も左も何も分からないのにポンと工事がやってきて、夜も帰らず、事務所で仮眠して、そのまま現場に行ってみたいな感じで…。毎日夜中は当たり前な生活でしたが、がむしゃらに頑張りました。その後、結婚・出産し、家庭を持ってくると、「私何でもやります。どこでも行きますので、やらせてください」というのが、正直言えなくなりました。仕事はやりたい。けど、家庭は守りたいという自分の中での勝手な葛藤があって、この葛藤を自分の中でうまく整理をつけることが難しいのです。今後、通建業界だけではなく、子育てにも社会にも貢献していけるようになればなと思います。あと、職場で「あの子ちょっと最近変だね」というようなことについて、女性の方が感じる力が強いのではないかと思います。今後は、お客様と1対1で対応するサービスも増えてくると思うので、きめ細かい配慮ができる女性の特徴を生かした現場での作業というのもできたらと思います。折衝は女性が細かい配慮をして、例えば、電柱の位置1つにしても、子どもが見えにくく危ないからここはもうちょっとこっちに寄せた方がいいとか、違う面での配慮も女性の方ができることがあるので、新たな活躍できる場ができればいいなと思います。
―「思ったよりは心配いらないよ」―
行武 私は自分が配属になって設計や、工事長をした時、実際の作業は協力会社さんがするので、力に関してはあまり問題に思ったことはなかったです。工具を持ってくる必要があった時に、工具がちょっと重たいなみたいなことはあっても、別に持てない範囲ではないという感じです。段取りよくやれば工事はうまくいくので、女性だからという問題にはならなく、思ったよりは心配いらないよということを広く浸透してほしいと思います。困ったことがあっても、それは男性も同じ経験をすると思いますし。困難なことや経験していないことは、ぜひ自ら経験した方がいいと思っています。
―「子どもにとって母親は1人しかいない」―
街道 私は1人目を出産して仕事に復帰した時に上司から、「子どもができたら今までみたいに自分の時間だけで仕事ができなくなるから、仕事か子育てかの判断が難しくなると思う。仕事は代替できる人が他にもいますが、子どもにとって母親は1しかいないということを心にとめて、自分の人生を考え、家庭と仕事を両立することに頑張ってほしい」と言ってもらった言葉がとても心に残っています。自分も結婚する前は、仕事がすごく楽しくて、没頭していました。でも、子どもがいると保育園にお迎えに行く時間とかでは、保育園で最後の1人になるのはやっぱりかわいそうという母親の感情が出てきて優先するようにしました。自分1人しかできない仕事というのは良くないと思います。仕事の優先順位をつけ、計画を立てて、早めの業務処理に心がけるのはもちろんですが、それでも完了が困難になる場合は、組織として仕事を進めていくことが必要であり、複数の人で助け合える仕組みを作ることが大切だと思っています。一生懸命やっていれば周りからも理解してもらえると思います。
※近江 明加(おおみはるか)さん 四国通建㈱ 通信設備本部 アクセス部に所属 2013年入社 現在、一般工事・管理CP工事とサービス総合工事の全数検査業務に従事。安心・安全な設備を提供するため、現場から送られてくる施工記録写真の検査を日々行っている。

神垣

 

神垣

       
 

現場作業員と会話しながら写真をチェックしている様子

 

―「家庭と仕事の両立」―
井上 一番いま悩んでいるのが、家庭と仕事の両立についてです。この先、結婚して子どもができたときに元の職場に戻ってバリバリ仕事したいという気持ちはあるのですが、家庭の事を考えると仕事を置いてでも子どもの方を優先して早く帰りたいという気持ちも少しあるのですごく悩んでいます。今、街道さんからのお話を伺い、目頭が熱くなりました。私のように結婚、出産と不安に感じている方もいらっしゃると思いますので、不安の解消というのが1つの課題でもあると思います。また、この場でお話を伺う事ができ、気持ちが楽になりました。


Q5.後輩社員へのメッセージ


 

司会 最後に、後輩に向けてのメッセージを一言ずついただきたいと思います。
―やる気のある人―
宇野(裕) 普段業務を行っていて思うことは、一生懸命に頑張っていると、周りが自然と困ったときに助けていただけることが多いです。女性活躍推進法が制定され、女性がより一層活躍できる社会に変わってきているので、やる気のある人は通建業界にチャレンジして欲しいと思います。また、大変だったこと・失敗したことなど、どんどん色々な経験をしていけば絶対に今後の知識・経験として蓄積されるのでともに頑張っていきましょう。
―「遠慮せずに聞くこと」と「相談すること」―
近江 私はまだ入社して4年目ですが、大事だなと思うのは、遠慮せずに聞くことと相談することです。仕事で分からないことがあれば質問してみるとか、やりたいことがあればやりたいと言ってみるとか、コミュニケーションを取るのが大事かなと思います。周りの男性社員と休憩時間に雑談していると、「俺もどう接していいか分からんのよ」とよく言われます。お互いに戸惑いはあると思いますが、自分の殻に閉じこもらずに、オープンになれたらいいですよね。お互いに頑張りましょうと言いたいです。
※宇野 理絵(うの りえ)さん 西部電気工業㈱ 社会基盤事業部 NTT基盤設備担当に所属 2012年入社 現在、福岡支社でNTT基盤設備工事の設計業務に従事。主な業務は、道路管理者との打合せ、現場調査、設計図面の作成、道路占用書類の作成 。

宇野

 

宇野

       
 

地中探査機を使用した現場調査


―「何事も前向きに」“発想の転換”―
宇野(理) 「女性だから簡単にできること」というのは、少なからずあると思います。一方で、「同じようにできないもどかしさ」や「うまくいったのは実力ではなくて、女性だからなのかな」とついつい感じてしまうこともあるかと思います。しかし、いま行っている業務については、女性だからできないことはありませんし、性別にかかわらず、大切なのは今、自分ができることを最大限頑張ることだと思います。 もし今後、女性であるがためにできないことがあるならば、「別の部分で頑張るので、他は任せてください!」と胸を張って言えるぐらい、何事も前向きに考えることが大事だなと思っています。“発想の転換”女性であることをマイナスに捉えるのか、プラスに捉えるのかは自分次第なのではないかと思います。
―「コミュニケーション」と「見せ方」―
田中 男性も女性も周りの方とコミュニケーションを取るのが不安なのかなと思うことがあります。この業界だと協力会社の方や派遣の方とコミュニケーションを取るのも大事です。また、上司となると普段話すことができない場合もたくさんありますし、ずっと自分を見てもらえる位置にいる方ではない方もいると思いますので、コミュニケーションだけでなく見せ方も工夫してもらえたら、もっと自分の頑張りを見てもらえるし、職場的にもこんなことができているというのを見せていけるかなと思います。女性でも男性でも、努力や工夫次第で評価してもらえることを伝えたいです。
―「コミュニケーション」と「挑戦」―
井上 挨拶はコミュニケーションの第一歩だと思っています。簡単なようですごく勇気がいります。みんなが率先して挨拶すれば会社の雰囲気も良くなりますし、1人で悩まず協力し合える環境も作れます。また女性だからできない、だからチャレンジしないとか一線を引いて諦めるのではなく、女性だってやればできるんだ、やってみようという挑戦を諦めないで欲しいですね。わたしも頑張っていきたいです。
※行武 里恵(ゆくたけりえ)さん ㈱SYSKEN NTT営業部に所属 2007年入社 現在はNTT工事(土木)の一般工事、サービス総合工事、簡易総合工事、ドコモ工事の積算業務に従事しており、見積書作成および発注者との価格交渉を実施。

宇野

 

宇野

       
 

見積書作成風景


―「努力している人をみんな見ている」―
川上 電線共同溝工事を担当した時は、現場に直行直帰の業務でした。男性の先輩と協力会社さんと一緒に施工していました。慣れない仕事は体力的に辛い部分もありましたが、大変なときに周りに上司や先輩もいなく、もう辞めたいと思うこともありました。無事工事が終了し、半年後に支店へ戻るとみんなが努力した成果を認めてくださっていました。「よく帰ってきたな。絶対途中で投げ出して帰ってくると思っていた。」と言われ、努力している人をみんな見ているのだなと感じました。つらい時に頑張ることで、のちに自分にプラスになることがたくさんありました。支えあって一緒に頑張っていきましょうと伝えたいです。
―「家庭と仕事のバランス」誰しもが通る道―
街道 私は、通建業界は男性主体のイメージが強いと思っているのですが、女性の方が適しているという領域もありますので、チャレンジする気持ちだけは忘れずに取り組んでいってほしいと思います。女性ならではの家庭と仕事のバランスで戸惑うということは、皆さん誰しも通る道だと思います。そういう時は1人で悩まないで、先輩や上司、もしくは女性の先輩などに悩みを相談しながら、自分の人生を切り開いていって欲しいと思います。あとから頑張ってよかったという思いがきっと来ると思いますので、そういうことを伝えていってあげたいと思います。
―「自分の居場所、帰ってこいよって言われる場所を作っていただけたら」―
神垣 私も現場で一番大変な思いをしている時に、社員は2~3名の職場にいたことがあって、誰も見てくれてないと思っていました。数年経ち私が異動になる際、一緒に仕事をしていた現場の方が送別会を開いてくださり、「偉くなって帰ってこいよ」と言われました。地元でもない場所でそういう言葉をかけていただき、ちゃんと見ていただいていたんだというのが、すごく感謝だったですね。どんな場所に置かれても、どんな仕事の内容でも頑張ってやっていれば、自分の居場所というのはできてくると思います。とにかく足を踏み入れて自分の居場所、帰ってこいよって言われる場所を作っていただけたらと思います。
―「頑張れば周りは絶対見ている」―
行武 私は上司から「仕事を頑張れば周りは絶対見ている。」と言われました。ただ、仕事をすることはコミュニケーションが不可欠です。なので、職場でのコミュニケーションや雰囲気づくりが大事だと思います。雰囲気が良ければ、仕事も頑張れるし、コミュニケーションも取れる。そしたら、職場全体でさらに仕事を頑張れると思います。ですから後輩には職場でコミュニケーションや雰囲気づくりにも積極的に取り組んで欲しいと思います。
司会 ありがとうございました。せっかく先輩方もいらっしゃって、また同世代のメンバーもいて、共有も図れていますので、今後もどんどん交流を深めていただけたらいいなと思いますので、よろしくお願いいたします。



【 司会・進行 】※本井傳 伸栄(ほんいでんのぶえ)さん
情報通信エンジニアリング協会 東日本研修センタ アクセス部門に所属2006年 入社 情報通信エンジニア協会 アクセス部門 女性初のインストラクター。㈱ミライトから今年3月より情報通信エンジニアリング協会にて従事。色んな会社の方々と触れる機会や色んな業務を経験させて頂ける為発見や驚き、チャレンジの毎日。

本井傳

    

本井傳

      

公開講座インストラクター光ファイバの仕組みについて説明模様