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Archive:2017

                

首都圏開催[ ITEA渋谷本部 ]

西日本開催[ ITEA西日本事務所 ]

全国交流会開催[ ITEA東日本研修センタ ]


【 全国交流会開催:2 0 1 7 年 2月2日(木)-3日(金) 】

1.はじめに
情報通信エンジニアリング協会 東日本研修センタ(岩槻)で全国から21名の方に参加していただき、女性技術者交流会を開催しました。参加者、スケジュールを示します(表1・2)。今回、北陸電話工事株式会社の街道智恵さんに2日間の司会をお願いしました(写真1)。 オリエンテーション(写真2)の後、ラジオ体操(写真3)、服装点検(写真4)の後で危険体感を実施しました。転落衝撃体感(写真5)、検電体感、墜落瞬間時体感(写真6)、地盤養生不良体感、高所作業車体感(写真7)、短絡体感(写真8)を実施しました。参加者から普段体験できないことを経験できて、現場にどれだけ危険工程があるかを知る良い機会になったとの声が数多く聞かれました。 その後、㈱ブロードバンドタワー 佐伯尊子様より、「時代の潮流(女性活躍社会)にのるために、貴方へのアドバイス」と題して、ご講演をいただきました。参加者に質問しながら、キャリアの考え方、キャリアについて見つめる時間としての外部講習会の利用、自分の性格分析等、幅広い内容についてご講演いただきました(写真9)。参加者からは、「さまざまな仕事を経験されながら、私生活の両立もされてきたのは大変だったはずなのに、とても前向きでボジティブに向かう姿は素晴らしく、尊敬します」の声も多数あり、参加者が感銘を受けたようです。


2.グループワーク
年代や境遇の近い方を4つにグループ分けをし、それぞれのグループにリーダとして㈱エクシオテック 小野寺幸子さん、㈱ミライト添田さとみさん、日本コムシス㈱上原実結さん、㈱ミライト・テクノロジーズ 神谷貴子さんに進行や班ごとのまとめを行っていただきました。その後、全体を通して悩みの共有や若手から先輩社員への質問、先輩から後輩への質問を実施しました。
A班・・・若手グループ。バリバリ働きたい。仕事での悩みや同じ技術職の女性先輩が職場にいなかったりするため、漠然とした不安もある。
B班・・・中堅グループ。後輩の育成なども考える。育成方法の悩みや今後の仕事のあり方などの不安がある。
C班・・・中堅グループ(子育て)仕事と家庭を両立している。仕事での悩み、家庭(子育て)の悩みと多くの悩みを抱える。
D班・・・プロフェッショナルグループ。管理業務、稼働調整や新たな業務に挑戦している。主に近年増えている女性技術者への指導方法に悩みを抱える。

表1 女性技術者交流会参加者一覧

スケジュール

A班(写真10・11)山田 アクセスの設備管理、支障移転受付、設備故障対応業務を行っています。課題も悩んでいることも皆さんと一緒で、私の代が女性技術者の1代目、先輩も後輩もいない状況です。男性の上司とお互い戸惑う事も多いと思います。私の代がキチンとしなくてはいけないと感じています。私たちから、「何をしてほしい、こうしたら働きやすい環境になる」ということを発信していかなければならないことが課題と考えています。結婚と出産時に女性は仕事を継続するのが難しいというイメージをまだまだ感じるため、私が発言、発信していく事でそういったイメージもなくしていきたい。それには、上司や先輩方の理解も必要不可欠になると思います。私は現場で働きたいという気持ちで入社しているので、男性のような力仕事は難しいかもしれないけれど、男女関係なく働けるようにしていきたいと考えています。
石橋 私は、施工現場からの技術的な問い合わせ対応を行っています。問い合わせに対応するためにはもっと現場経験を積み、全体を把握する事が大切だと思いました。そのため、1年目の現場OJT期間をもう少し長く設定する必要性があると感じました。
永井 会社としては、信越エリア(長野、新潟)がメインですが、私は東京配属になります。ずっと東京にいることはないと聞いているため、結婚や出産に不安を感じています。上司に相談をしながら従事していますが、女性は結婚や出産で働き方、しいては生き方について選択肢が多くあるため、ライフステージごとの仕事のあり方などが決まると安心して仕事に従事できるのではないかと感じています。 業務的には、モバイルの設計をしています。現場経験がなかったため、先輩に教わりながら業務を行っていましたがどうしてもイメージがつかみにくいこともあったので、上司にお願いして一週間現場に行かせてもらいました。現場を見て初めて知ることも多くあり、現場を見ることができてよかったと思います。上司に話を聞いてもらいやすく、女性男性共に働きやすい環境だと思います。

杉山 宅内工事の竣工処理をしています。現場経験がないため、現場の方からの問い合わせに対して、用語がわからずに苦労することがあります。工事の内容がわからないため、料金や工程の詳細の問い合わせがあっても、一度電話を切って他の人に確認してから、折り返し連絡するという二度手間になってしまっています。現場に出たことがないということが悩みです。工事班に現場に連れて行ってもらうなど、実際に現場に出て勉強したいと思っています。
B班(写真12・13)
室伏 アクセス部の故障修理業務を担当しております。後輩がたくさんいる事務所に所属したのは初めてで、育成や指導の方法で悩んでおります。「えー」、「うん」などと言葉使いが悪く態度にも表れているのでどう対応していこうか日々考えております。故障修理の現場でも、直接お客様と話をする機会が多いのですごく不安です。何かよい解決方法を探し、後輩と共に成長したいと考えています。
春田 私は入社1年、神奈川で受電配電工事の工事長補助業務を行っています。女性に特化した悩みではありませんが、慣れない運転で地理に弱いところです。現在は2名体制で運転をしていますが、そのうち1人で従事していく事も考えると、地理に慣れる事も業務を行う上で大切だと考えています。また、ミライトのネットワーク部門では初めての女性技術者という事や中途採用であるということもあり、周りの方との距離感がつかめていないという事もあります。現在よりさらに距離を縮めていけるように業務につとめていきたいです。
山本 私は入社2年目で宅地造成に伴う電柱新設、アクセス設備の老朽化に伴う設備更改の設計業務を行っています。業務の対象地域は、石川県全域です。自分の住んでいる市の地理はわかりますが、その他の地域に関しては覚えるのに、苦労しています。初めは男性ばかりの職場ということで、不安は多かったですが、管理職の方々をはじめ、周りの方々の配慮もあり、毎日頑張っています。今後、さらに活躍できるように頑張りたいと思います。
中園 ソフトウェア開発業務に従事しています。入社してすぐにお客様の会社に常駐し、システムの開発に携わりました。お客様の会社常駐時は自社の情報の共有が少し難しかったのが悩みでした。1年半前に自社に戻り、プロジェクト単位でソフトウェアの開発に携わっていますが、最初は顔と名前が一致しない人も多くいました。現在は他部署との合同のプロジェクトということもあり、いろいろな情報を共有できるようになりました。

C班(写真14・15)
街道 担当業務の中に、若手社員の育成支援があり、入社から3年間若手社員を中心にサポートをしています。最近ダイバーシティマネジメント(多様性の容認)をよく耳にするようになりましたが、属性が女性というひとくくりで語るのではなく、1人ひとりに合った対応が必要だと思います。いろいろな悩みが発生した時に従来のやり方で画一的に対応するのではなく、「個々人にあった処方箋」を考えて対応することの必要性を、上司、周りの人に理解していただき、具体的に日々の業務の中で対応していただくには、どう伝えてどうサポートしていけば良いのか悩むことがあります。デリケートな心の部分もありますが、ケースバイケースでノウハウを蓄積していきたいと考えています。周りの方々にも、そのような文化が根付くようにしていきたいと考えています。また、ダイバーシティマネジメント(多様性の容認)について理解を深め、言動につながるよう研修を計画することも一方法かと思います。

内藤 私の仕事は、サービス総合(サ総)工事のアクセス系の設計業務です。お客様対応から現場調査、設計、現場対応もしています。最初は女性であるハンデを感じましたが、今は現場の方にも信頼していただき、良い環境で仕事ができていますので、実際仕事の悩みよりも家庭の悩みが多いです。家庭の悩みとしては、世間で言う小1の壁にぶつかっています。子供は小学校1年生の女の子1人です。小学生になり、髪型や服装のこだわりが強くなり、朝の準備が大変です。家事全般やってくれる夫も、娘の髪を結ぶことはできません。通勤時間が1時間かかるので、保育園の頃は、朝、子供が寝ている時間に家を出て、余裕を持って出勤していましたが、今は子供の準備に時間がかかるので、出勤も始業ギリギリの時間で、どれだけ仕事が忙しくても"ちょっと朝早く行こう"という選択肢はありません。帰りが遅くなると、宿題も見てあげられない、話も聞いてあげられないので、なるべく早く帰れるように、自分なりに効率的になるよう改善をしながら仕事をしています。また、仕事のことや、家庭との両立を考えると厳しいかなと悩んでいた2人目に関して、最近は、上司に相談しながら仕事をしています。サポートしてくれる先輩がいることや、言いにくいことも話せる環境がストレスの軽減にもなっています。できる限り仕事もきっちりこなした上で、家庭との両立をしていきたいと思っています。仕事の悩みは、自分が苦手な仕事や、新しい仕事など、誰もが悩むような内容が多いので、悩む暇があったら努力したり、仕事に関しては何事もポジティブに考えています。ただ、どれだけ経験を積んでも女性であることには変わりはないので、女性特有の体調不良や、女性特有の悩みを理解してくれる人が近く にいてくれるようになると心強いですね。
街道 きっと理解してくださる方はいますし、増えると思います。仕事は代替できますが、母親・妻の役割は代替できません。後々、後悔しない人生にチャレンジし続けることが大切だと思います。
奥村 今私がいる部署はサ総設計で、図面を描いているのですが、実は現場の経験がほとんどありません。そのため長い間やっていてもまだまだ知識、経験不足など未熟な面がたくさんあります。例えば分からないところが出てきた時などに実際の現場のイメ-ジがなかなかしづらい事とか、教えてもらう時間があまりない事など。また質問をしたい反面、経験年数を重ねてしまっている分それらがハ-ドルとなり、今頃こんな事を聞いても大丈夫だろうかと思ってしまう面もあります。後は1つの事だけではなく、いろいろな業務ができるようになっていかなければならない事です。そうすれば何かがあった時に少しでも力になれるのではないかと思いました。それと話が変わりますが、私事ですが少し前に結婚したのもあって今後の家庭と仕事との両立についても考えてしまいます。これからいろいろな事があるとは思いますが、そういった時こそ職場の方たちや上司の方と上手くコミュニケ-ションを取りながら乗り越えて行けたら良いなと思っています。
街道 組織全体で、代替できやすい仕事の流れを作り、加えて、周りの方々の理解を得ることが大切だと思います。
添田 私は小学校一年生と年中の子供がいるのですが、子供が風邪をひいた時や学校行事で仕事を休むことがあります。やはり休むのは心苦しいですが、上司が理解して下さり、一緒に働くメンバーもサポートしてくれるので本当に感謝しています。両立を難しく感じた時期もありましたが、部内で励まして応援してくれる先輩やいつも明るく子育ても頑張っている後輩の存在が、心の支えになっています。
水上 近年女性社員が増え女性の後輩と仕事をする機会が増えましたが、これまで自分流のやり方で仕事を進めてきた部分も多かったので、上手な伝え方がわからず試行錯誤しています。女性同士はなにかと同じ業務へ配置されることが多いので、仕事上でのコミュニケーションを上手く取りたいのですが…。
街道 同じ業務への配置でも、役割分担が明確になっているのであればいいと思います。「これを2人でやってね」というのはトラブルの原因だと思います。どちらが最終責任をとるか、はっきりさせて調整すると、スムーズに行くことが多いと思います。
D班(写真16・17)

古川 アクセス系線路設計の一般工事を9年行っています。気付けば先輩達がいなくなり若手社員が入ってきて、仕事内容も変わってきました。現在、自身の設計を持ちながら設計グループ内の稼働管理を行っていますが、自分の手持ち仕事との調整が上手くとれず、結局自分の仕事が後回しになり、担当工事の施工にシワ寄せがいき迷惑をかけています。上司からは「仕事を上手に振り分ける工夫を」とフォローとアドバイスは受けていますが、上手く活かせてないのが悩みです。
小泉 私は去年勤続20年だったのですが、そのうち15年間くらいは全く違う業界の事務職をしておりまして、2年半前この業界の検査担当に突然配属になりました。今、品質管理部で写真の検査をしております。知識が全くないところからのスタートでしたので、いくつかの研修を希望して受けさせていただいたのですが、やはり現場を知っているわけではないので、写真を見ただけではわからないことがたくさんあります。どうやって知識を増やしていけばいいのかなと悩んでいます。
井上 私は、ビジネスフォンやPBXの設計・積算・施工管理業務などを担当しています。同様の仕事を専門とする同僚はあまりいないのですが、社内外で教示を受ける機会に恵まれて、何とかここまでやってこられました。最近、女性技術職の後輩が2名ほど増え、嬉しく思う反面、後進の育成がなかなか思うように進まないという課題を感じています。
小島 私は、ドコモ無線基地局建設の最初の部分である、基盤確保業務・コンサル業務に携わっております。基盤確保業務とは、ドコモ基地局設備をつくるため、場所の確保を行う業務で、コンサル業務とは、既設局設備の増設や撤去工程に伴う地権者様との折衝業務となります。課長として、2年前より担当グループの取りまとめを行っております。今の悩みは実際の仕事だけでなく、グループをまとめなければいけないことです。今までは自分の担当案件のことだけを考えていればよかったのですが、今は、グループ全体をみられる視野が必要な立場になり苦労しているところです。
長南 OPTOS登録業務を行っています。設計があり、施工があってのOPTOS業務のため、年度末などは必ず最後切羽詰まってくるのが大変です。悩みは、現在一般・サ総で言えば社員が8人、派遣18人で作業していて、指導すればすぐできるだろうと思われがちな仕事なのですが、工事の内容もさまざまで全部教えるためにはとても時間がかかりどのようにしていけばいいかなと悩んでいます。部下の育成に関して、人によって成長のスピードにも差があり、育成の難しさを実感しています。
小野寺 自分たちの下に女性がつけば、私はこれまで自分で頑張ってきたためか、どうやって教えてあげればいいのかしらとなります。難しいですよね。そんな時はロールモデルが大事だなと思います。うちの会社は女性が特に少ないかもしれない。最初はバリバリ、私も男性と一緒に現場行きたいですと言って入ってきても、結婚、出産、するかしないかが問題になってきます。そうなると仕事を取るか、プライベートを取るかの2択になってしまって、辞められた人が多かったです。長く続けられている人は、私のようにたまたまタイミングが良くて、どんどん来ちゃったという人が残っている感じがしています。
小島 結婚すれば相手の理解も大きいのかなと思います。私も、仕事が忙しかったので、私の方が帰りが遅く、すれ違いでした。その分頑張ろうと思って、早く起きてお弁当作って、夜も残業になるかもしれないため、夕飯も準備しておいて、仕事も家庭もちゃんとやらなきゃと頑張りました。自分の中ではフル回転で休めるところがなくて、疲れちゃったというのが正直なところです。頑張りすぎたのかなという感じでした。そういう経験で分かったことは、頑張りすぎないこと。仕事もある程度責任は果たすけれども、家庭でも甘えるところは甘えて、相手も理解してくれて、とても助かっています。
小野寺 私は、育児と仕事の両立に悩む年代をもう抜けて、全部一段落した感じなので、比重は仕事になっています。プライドを持って、しかし頑張り過ぎないバランスのとり方を下の人にうまく教えてあげられるといいと思います。そうすると、どんどん育っていくのではないでしょうか。しかしそのさじ加減は難しいです。私は、土木の設計業務を行っていますが、同じ仕事の女性は誰もいません。全くいないので、工事長に言われたことをただひたすらやって、ひたすら覚える。言われたことを2回聞かないように覚えていくだけ。ただがむしゃらに覚えて、年数を重ねただけなのです。
全体議論(写真18)

写真18 全体の議論模様

〈①後輩の指導・育成について〉
小野寺 女性の後輩の指導・育成について、どうでしょうか。室伏 通信会社の回線の保守作業をしています。故障修理なので、お客様との対応もあるため言葉使いや電話対応など特に気を使います。後輩へ丁寧な対応を常日頃身につけて欲しいと感じているのですが、どう伝えたら良いのか悩んでいます。
小野寺 D班でも同じ議論をしました。同じような課題があるようです。どのように対応したら良いでしょうか。
室伏 班で出た議論では、褒めて育て、それとなく伝えることで相手の共感を得る方法があるのではないでしょうか。メンタルが弱い方もいるかと思います、いっしょに頑張って行こうねという感じでしょうか。時々、浸透しているか、チェックも大事だと言われました。自分も明日からやってみようかと思います。
〈②既婚者の勤務時間について〉
上原 結婚されている方はどれくらいの時間に帰宅していますか。小野寺 子供が小さい時には8時ごろに帰宅しましたが、「すみません。すみません。」とお願いして義母の全面的な助けがあったので両立できました。産休明けに仕事に復帰し育休は取りませんでした。子供が小学校にあがった後は、繁忙期では9時、10時ごろに帰宅していました。食事の支度等は、すべて義母まかせでした。添田 8時半~5時までの勤務で、 ほぼ定時に退社しています。私の実家の近くに住んでいるので、幼稚園の送り迎えなど母に協力してもらっています。
小野寺 友人で3人のお子さんがいるご家庭ですが、共働きなので、3人とも保育園に預けていました。夫婦とも残業になってしまった時は、保育園の保育時間を延長すると食事代がかかるそうで、3人分の費用がかかるので大変ですとお聞きしました。
街道 私は中学生、小学生、幼稚園の3人の母で定時に退社するように心掛けています。仕事に優先順位をつけ、どうしても予定通りに仕事が進まない時は早めに上司に連絡するようにしています。保育園は融通が利きますが、小学校に入ると学童保育の融通が利かないことが多く、容易に残業をできる環境ではありません。残業等が発生する場合は、家族、親戚の協力はもちろん、友達の協力、会社の周りの方々の協力等、たくさんの方々のサポートがあり、なんとか頑張ってやっています。
井上 現場では、予定通りに作業が終わらず帰宅時間が遅くなることがあります。時には泊りがけになることも。子育てをしながら仕事を続けていく上で、協力者の存在は不可欠だと感じています。
内藤 私は小学校1年生の子供がいます。両親の協力はありませんが、夫が家事全般をやってくれています。保育園の送り迎えもすべて夫がやってくれていますので、帰りは定時だったり、残業をしたり、仕事量に合わせて帰宅しています。一般的な家庭とは男女真逆の生活スタイルですので、まだまだ男性がメインで働くのが当たり前の日本の社会で、いろいろな面で風当りは強いですが、夫婦で助け合うことで、仕事と家庭の両立ができています。未婚の方で、ご両親が近くにいなくて結婚しても仕事を続けられるかどうか不安に思っている方もいると思いますが、協力者は両親だけではなく、きっと誰かがいます。諦めないで、素敵なパートナーを見つけて欲しいと思います。
〈③コミュニケーションの問題〉
小野寺 「コミュニケーションがとれないよ」という方、いらっしゃいますか。どこがとれないですか。言いたいことが言えないのでしょうか。
小島 私が入社したばかりのときは、男性側が気を使っていたように思います。仕事する上で、コミュニケーションを取るにも戸惑うことも多かったです。2年間の現場研修の時には、たとえばトイレについても現場近くのコンビニまで連れて行ってもらわないといけないため、申し訳なくて言いだせなかった記憶があります。女性特有のことで体調が悪い時もどう伝えたら良いのか迷いました。最初は言い出すのにも抵抗がありましたが言わなければ伝わらないし、コミュニケーションを深めながら工夫し話をしていくといいかと思います。
小野寺 上司に言ってみることも大切です。自分から殻を破っていく努力が必要ではないでしょうか。
〈④現場経験がないのは不安〉
水上 先輩女性社員があまりおられないため、自分のキャリアの積み方について悩むことがあります。入社以来現場ではないところでの業務を経験してきたため、現場の知識で分からないことがあり歯痒い思いをすることも多々ありました。このままキャリアを積んで指導する立場になれるのか不安になります。
小野寺 大丈夫です。自信がない時には資格を取ってみたらどうでしょうか。空き時間を利用して、現場の写真を見て勉強するとか、規格書を見てみるうちに徐々に基礎力がついてきます。現場自体を管理するのは人を回すのと同じだと思います。安全管理等の知識がないと指導ができないので、知識を少しずつ蓄え基礎力をあげていく。資格を取るとなると、必死になります。私も現場に出たことがなかったのですけど、写真を見ながら登録とか、竣工とか、1つずつやってきて、現在、土木の設計ができるようになってきました。1つずつトライしていければと思います。
小島 現場の仕事をしていなくても、たまに現場を見てみることができればよりいいのかと思います。そして、分からないことを聞ける人を探すのも良いことだと思います。井上 確かに、現場の経験不足が壁 になる時がありますね。まずは規格書や取扱説明書を読み込んでみてはどうでしょうか。質問しづらいという時もあるかと思いますが不安を感じた時こそ、臆することなく先輩を頼ってほしいと思います。
杉山 現在、主に取り組んでいる業務は、現場とのやり取りのある職場なのですが、現場に出ないとわからないことが多いので、現場に出たいのですが、どのようにして現場に出ることができるようになったのです か。最初から上司から指示されたのか、現場に出たいと自分から交渉したのかを教えて欲しいです。
室伏 私の場合、現場作業といっても最初の1年くらいは室内の簡易な作業ばかりだったので「外で電柱に 登り作業をしたり、マンホール内の作業もしたいです。」と自分から上司に言って、さまざまな環境での作業を行わせてもらいました。
上原 私は、半年ほど現場作業中心で、その後は、現場管理側に回っていますが、現場作業を知らないと安 全指示もできないので、「やれる時間があれば、現場作業をさせて下さい」と上司に伝えています。時間が自由に使える間は、現場にできる限り出て知識を増やしたいと思っています。意見は言わないと分かっても らえないと思います。
杉山 現場に出たい旨を上司に伝え考えてもらっておりますが、現状は難しい状況です。
本井傳 なにが足かせになっているのですか。
杉山 作業車に3人で乗るとぎゅうぎゅうになり、男性の方が女性に気を使うことがあると聞いたことがあります。また、今の業務が私1人でしかできない業務分担になっているのも一因かと思います。日々の納期に追われて空き時間を作る余裕がありません。中堅社員として管理業務につくまでに、後輩社員へ引継ぎを行い、特 殊な現場作業工程を料金やNTT様へ報告する工程と紐付けできる能力をさらに身につけていきたいと考えます。
小野寺 現場に行くのであれば、安全パトロールについていく方法もあると思います。私は土木なのですが、アクセスの安全パトロールにつ いていき、「どこが問題なのですか。」と質問してアクセスの業務が少し身近になりました。
街道 いろいろ話がでてきましたが、そろそろお時間のようです。ありがとうございました。


 

3.さいごに
 今回、参加者の方々にサプライズ企画として上司から激励のメッセージをいただきました。本人には内緒である事や依頼期間が短かったにも関わらず、全員の上司から手紙を預かる事ができました。手渡された時、とても嬉しい顔で手紙を受け取っていらしたのが印象的でした。手紙を読み感極まって目に涙を浮かべる方や、照れくさそうに読んでいる方もいらっしゃいました。以下サプライズ企画アンケートの内容を掲載します。
○普段聞くことのできない評価が聞けてびっくりしました。激励をいただけたことは今後の仕事の励みになります。
○新入社員のなにもわからなかった時の気持ちを思い出して懐かしくなりました。上司は見ていてくれていると思い、今後も頑張ろうと思いました。
○サプライズということで、とても驚いたのと同時にお忙しい中、時間を割いて内容を考えていただいたんだと嬉しく感じました。そして今現在の「私自身に足りないもの」また「今後過ごしていく上でのアドバイス」をいただけたため、その事を自分に落とし込んでこれからも精進していきたいと思います。グループワークでは、コミュニ ケーションの問題、勤務時間や女性ならではの問題、後輩の指導・育成についてなど、日ごろの悩みや疑問をぶつけあう場として有意義な時間を共有できた女性技術者の皆さん。女性の活力を有効に活かしていく上でも、ITEAでは今後も継続して同様な交流会や座談会を開催していく予定です。